ランナーにピラティスは必要?走る身体を整える

Yoshi

「ちゃんと走っているのに、最近あまり変わらない。」

ランニングを長く続けていると、そんな時期がありませんか?

距離も踏んでいる。スピード練習もしている。それなりに頑張っている。

それでも以前ほど成長を感じない。身体の硬さが気になる。同じところが張る。

僕自身、まさにそんなことを感じるようになりました。

これまでフルマラソンを15回以上走り、自己ベストは3時間13分33秒。

走ることで走力は確実に伸びました。

でも長く続けるうちに、

「もっと走るだけでは、変わらない部分もあるのでは?」

と思うようになりました。

そんな僕が、走ることとは違う角度から身体を見るきっかけになったのがピラティスです。

最初に結論を言うと、ランナーにピラティスは必須ではありません。

でも、長く走り続けたい人が自分の身体を見直す方法として、取り入れる価値はあると僕は考えています。

ランニングは脚だけの運動ではない

走っている姿を見ると、一番大きく動いているのは脚です。

だから「ランナーなら脚を鍛えればいい」と思うかもしれません。

でも実際には、腕を振り、骨盤や股関節を動かし、片脚で身体を支えながら、体幹で姿勢をコントロールしています。

しかも、その動きを何千回、何万回と繰り返します。

だから大切なのは、筋肉が「強い・弱い」だけではありません。

自分の身体をどう使っているのか。

疲れたときにどう変わるのか。左右で違いはないのか。必要なところを動かせているのか。

こうした視点も、ランナーには必要だと思っています。

ピラティス=体幹トレーニングだけではない

ピラティスというと、

「体幹を鍛える運動ですよね?」

と言われることがあります。

もちろん体幹は使います。

健康な人を対象とした研究をまとめたシステマティックレビューでも、ピラティスによる腹部筋持久力の改善が報告されています。一方、柔軟性については明確な差が認められなかったなど、すべての身体機能に同じような効果が確認されているわけではありません。

僕がピラティスの面白さを感じるのは、筋力そのものだけではありません。

呼吸する。

背骨を動かす。

骨盤をコントロールする。

股関節を動かす。

手脚を動かしながら体幹を保つ。

そして、

「今、自分の身体はどう動いている?」

と感じながら行う。

ランニングでは、ペース、距離、心拍、タイムなど、どうしても「外側の数字」に意識が向きます。

ピラティスでは逆に、自分の身体の内側へ意識を向ける。

この違いがランナーにとって面白いと感じています。

ピラティスをすると速くなる?

実際にランナーを対象とした興味深い研究があります。

Finattoらはトレーニング経験のあるランナー32名を対象に、通常のトレーニングに加えて12週間ピラティスを行う群と対照群を比較しました。

その結果、ピラティス群では5km走のタイムとランニング時の代謝コストに改善がみられました。

「じゃあ、ピラティスをすれば速くなる!」

……と言いたくなりますが、そこまでは言えません。

参加者は32名ですし、一つの研究結果だけです。

僕はここを大事にしたいと思っています。

ピラティスをすれば必ず速くなるわけではない。
ケガをしなくなると断言することもできない。

でも、走る以外の方法で身体機能や身体の使い方に目を向ける選択肢にはなり得る。

今のところは、それくらいに考えるのがいいと思います。

僕がピラティスをして感じた変化

ここからは研究ではなく、僕自身の経験です。

ランニングを長く続けてきて、以前は「速くなりたいなら、とにかく走る」が中心でした。

走行距離を増やす。

スピード練習をする。

マラソンに向けて練習を積む。

それで実際に速くなりました。

でも、だんだん頭打ちを感じるようになりました。

「走力は伸びてきた。でも、身体の使い方そのものはどうなんだろう?」

そんな疑問が出てきたんです。

そしてピラティスを始めてから、自分の身体を見る視点が少し変わりました。

背骨がどれくらい動いているのか。

左右で違いはないか。

股関節を使っているつもりが、別の場所で代償していないか。

今まで「走る」だけではあまり気にしていなかったことに目が向くようになりました。

そしてこれはあくまで僕自身の感覚ですが、ピラティスをしたあとに走ると、身体が動かしやすく、走りやすいと感じることがあります。

「今日は身体が軽いな」

「脚だけじゃなく、身体全体で走れている感じがするな」

そんな感覚です。

もちろん、「ピラティスのおかげで走力が向上した」とは言えません。

でも、

走ることだけでは見えなかった自分の身体が、少し見えるようになった。

僕にとっては、それだけでも大きな意味がありました。

もっと走る前に、身体を見てみる

ランナーは真面目です。

速くなりたいと思ったら、もっと走ります。

僕も今でもそうです(笑)。

でも、もし今、

「以前ほど伸びなくなってきた」

「身体の硬さが気になってきた」

「これから先も長く走り続けたい」

そんなことを感じているなら、

「もっと走る」の前に、一度「走る身体」に目を向けてみる。

そんな選択肢があってもいいと思います。

ピラティスは魔法ではありません。

でも、自分の身体を知るきっかけにはなる。

走ることで身体を鍛え、
ピラティスで走る身体を整える。

10年後、20年後も、

「やっぱり走るのって楽しいな」

と思いながら走っていたい。

それが、僕が考えるピラティス×ランニングです。


参考文献
・Finatto P, et al. Pilates training improves 5-km run performance by changing metabolic cost and muscle activity in trained runners. PLoS ONE. 2018.
・Campos RR, et al. Effect of the Pilates method on physical conditioning of healthy subjects: a systematic review and meta-analysis. J Sports Med Phys Fitness. 2016.


ABOUT ME
Yoshi
Yoshi
PILARUN
理学療法士/ピラティスインストラクター/市民ランナー
身体運動や姿勢制御に関する臨床・研究経験を生かし、
ランナーが自分の身体を理解し、整えながら走るための情報を発信しています。
フルマラソンPBは3時間13分33秒。
サブ3を目指して練習中。
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